そのマスク必要ですか?手指衛生の重要性について

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新型コロナが流行し初めてから 約2年、コロナ渦での生活にも慣れてきた方も、多くのストレスを抱えている方も様々だと思います。”Withコロナ”の名の通り、もはや生活の一部となってきた感染予防対策ですが、なんとなくマスクをして手を洗っていれば大丈夫!と思っていませんか?

感染対策についてはメディアで散々やってるじゃん、いまさらだよ!と思われるかもしれませんが、メディアでは「3蜜は避けて」「マスクをして」「手を洗って」と漠然と言われることが多く、どのようにして感染がおこるのか、なぜその対策をするのか、今や解説されることは少なくなっている気がします。知っているのと知らないのでは効果に違いが出ると思いませんか

世の中にはコロナ以外の感染症もたくさんあります。病院勤務時代に研修で学んだことや感じたことを交えて、今もう一度、手洗いやマスクの意味と効果、正しい対処法などをおさらいしてみたいと思います。しっかり対策して、これからを元気に過ごせるよう頑張りましょう!

マスクの意味とは?そのマスク必要ですか?

さて、この記事のタイトルにもなっている、「そのマスク、必要ですか?」それだけ聞くとヒンシュクを買いそうですが、ちゃんと意味があります。
コロナが流行するずっと前のことですが、以前勤めていた病院で、感染予防対策のための講習会がありました。そこに講師として来ていた先生が一言。
「ぶっちゃけマスクはいりません」
就業後の疲労と睡魔と戦いながら聞いたこの一言は衝撃でした。実はこの講習会、感染予防対策の中でも手指衛生のための講習会でした。
驚きはしましたが、先生が言いたかったのは感染対策においてそれほど手指衛生が重要であるということなのだと思います。本当にマスクがいらないとは思っていないと(たぶん)思います。
では、「マスクがいらない」という意図について、詳しくお話していきたいと思いますが、少し他の基礎知識も必要になりますので、少々長いですがお付き合いいただければと思います。

そもそも感染予防とは?標準予防策とは?

医療・介護の現場では「標準予防策」というものがあります。細かく説明すると長くなりますので、簡単に言うと「すべての患者さんの体液は危ないものと思え」ということです。言い方が悪いですが、自分が感染症をもらわないためには大事な考え方ですよね。医療現場の人は自分が感染症をもらってしまえば、また他の患者様や職員に染すことになります。自分は治療に関われなくなりますし、医療従事者がダウンすれば誰が患者様を診るのか、ということになりますから。

この考え方が通常の生活にも応用できるのではないでしょうか。「人を見たら感染症だと思え」聞こえは悪いですが、世の中にはコロナを含め、それだけ感染症の元となるものが転がっていると考えて良いと思います。ただの風邪だって感染症のひとつですからね。
自分がかからないことは人に広めないためにも大切なことだと思います。

では、具体的に何に気を付ければよいのでしょうか?そのためにはまず感染の経路にはどんなものがあるかを知る必要があります。

感染経路 にはどんなものがある?

感染を広げないためには、感染経路を断つことが重要と言われています。
では感染経路にはどんなものがあるのでしょうか?

・飛沫感染

せき、くしゃみ、会話などにより、飛沫を口や鼻に取り込んでしまうことで感染します。
飛沫を浴びる近距離での感染が多いです、
※飛沫感染をするものは接触感染も起こりえます。

→風しん、インフルエンザ、) 等

・接触感染

感染者から排出された病原体や環境の中にある病原体に触れ、それを体内に取り込んでしまうことで感染します。

→インフルエンザ、O‐157、ノロウイルス…ほとんどの感染症が該当

・経口感染(糞口感染)

病原体に汚染された食べ物を、加熱不十分で食べた場合や、感染者が調理し汚染した食品を飲食した場合に感染します。
糞便から手指を介して経口摂取される場合は特に糞口感染と呼ばれます。

→O‐157、ノロウイルス 等

・空気感染

咳やくしゃみなどの飛沫の中にある病原体が包まれていた水分が蒸発することで、空気中に浮遊し、それを吸い込んでしまうことで感染します。感染者と距離が離れていても感染することがあります。

→麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)、結核
※空気感染をする病原体はほとんどない。

・母子感染 

感染者である母親からの感染
→B型肝炎、HIV など

・血液感染

ピアスや注射針の針刺し事故などによる感染、
→B型肝炎、C型肝炎、HIV など

・性行為による感染

性行為による接触により感染します。
→梅毒、HIV、クラミジアなど

新型コロナの場合は空気感染はなく、飛沫感染と接触感染が主であるといわれています。(エアロゾル感染といって、飛沫よりも小さいしぶきがやや長い時間空気中にとどまる場合もあるようです)

感染経路 を断つ

感染経路が分かったところで、どうやって身を守ればよいのでしょうか?

経路のどこかを断つことができれば感染は起こらないことになります。

まず頭に入れておくことは、感染源は体から出る体液(湿ったもの、水っぽいもの)から体外に出て、他人の体液から体内に入るというサイクルです。
体液というと、血液、涙、唾、便や尿、場合によっては汗も可能性があるようです。またそれらが出てくる粘膜(目や口、陰部など)に触れることでも病原体をもらう可能性があります。

ということは、

①感染者の身体から出る湿っぽいものと、粘膜には触れないこと 

②汚染した手指などで自分の粘膜に触れないまたはその手で触れたものを食べるなどして取り込まないこと 

が感染経路を断つ方法だといえます。

じゃあ、人の体液や粘膜なんて介護や医療従事者でもない限りそうそう触らないし、そういわれたら結構簡単じゃないか!

……とはならないものです。飛沫感染や接触感染があるのが厄介なのですね…。感染者から出た飛沫により病原体が環境中にはたくさん病原体があることになります。

ここで標準予防策の考えに戻ります。
「人を見たら感染症だと思え!」そのうえで、さらに「世の中にあるものはすべて病原体がついてると思え!」と考える必要があるということです。

ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、スマートフォン、水道の蛇口、エレベーターのボタン、電気のスイッチ…数えればきりがなく、それらに触れて病原体それを取り込むことで感染する可能性があります。図のサイクル中のどこかを断たなければ感染が成立してしまうことになりますね

 

そんなことを言ったら何もできなくなりそうですね。しかし、そこで大事になるのが手指衛生です。ようやく出てきました、手指衛生。

また少し話が戻りますが、感染経路のうち空気感染の場合は完全な隔離が必要で、微粒子マスクや部屋の陰圧などかなり気を使わなくてはいけません。しかし、多くの感染症は飛沫感染や接触感染にあります。飛沫感染は基本的に近距離での感染になりますから、マスクなしで感染者の特に近くにいた場合でなければ、ほとんどは接触感染ということになりますね。

そこで冒頭の「そのマスク、必要ですか?」につながるわけです。長かったですね。
飛沫感染は相手の飛沫を吸い込むことで感染するので、お互いにマスクなしで面と向かってやり取りをすれば感染する可能性が高いですが、感染者がマスクをして入れば飛沫は飛びにくい、ぶっちゃけ理論上は感染者さえマスクをしていれば感染経路はそこで断たれることになります。それで「予防策としてのマスクは必要ですか?手指衛生のほうが重要じゃないですか?」という意味で講師の先生は「マスクは必要ありません」とおっしゃったようです。マスクは感染を広めないための対策としての意味合いのほうがが強いということですね。

ただし、実際はマスクをしていてもある程度の飛沫は飛ぶようですし、エアロゾル感染もありますので近距離以外での感染も起こりうるようです。また不顕性(無症状)の場合もありますので、自分が感染者側ではないということも言い切れません。ですので、外出時には必ずマスクをしましょう。

あくまで伝えたかったのは手指衛生がいかに重要かということです。

感染を防ぐには?

では、それほど大事な手指衛生についてです。「世の中にあるものはすべて病原体がついてると思え!」ということは、「すべてのものに触ったあとは必ず手を洗え!」

……それではいくらなんでも手がふやけてしまうので、ポイントやタイミングが大事だと思います。基本は自分の粘膜に病原体が触れなければいいので、粘膜に触れる可能性がある行動の前に手をしっかり洗う!これだけですね。

また、予防の観点だけでなく拡大を防ぐための意識づけも大事だと思います。自分が感染しているかもしれない、と思って行動する。という考え方ですね。

注意するポイント

食時の時は食べ物を介して口に入ることがあるのでもちろん洗いましょう。

トイレの後はもちろん、できればトイレの前にも洗うことが有効と思われます。陰部にも粘膜がありますから。(トイレの前はもらわないため、トイレの後は広めないために)

傷のある手も注意が必要となります。手荒れのある方も細菌が定着しやすいようですので注意です。ささくれも手の傷の原因になります。手荒れのケアにも気を付けましょう。

顔回りは触らないこと。目や口があるので手を洗う前に顔回り触れないことが大切です。

飲みまわしや食べ物・食器のシェアは危険です。

⑥携帯電話やスマートフォンなどの普段持ち歩くものの消毒もまめに行いましょう。

咳やくしゃみを抑えた手、鼻をかんだ手は自分が感染している場合、その手で様々なところを触ってしまうと感染を拡大させます。直接手で押さえないようにするか、触れてしまった場合はすぐに洗い流しましょう。

入店時のアルコールは、店内に病原体を持ち込まないため、感染を広げないための対策といえると思います。店内にあった病原体を取り込まないためには、出るときのアルコール消毒も必要と考えます。

⑨高齢の方がよくやる、指をなめて雑誌や新聞をめくる行為は、雑誌コーナーや新聞コーナー、貸出図書など共用の物を利用する時はやめましょう。

 

そんなに神経質にならなきゃダメなの…?と思いますが、「知っている」ということが大切だと思います。この他にも経路はたくさんあると思います。人の体液から出て体液に入り感染する、これの基本を知り、その経路を断つということを考えれば、何に注意が必要なのか、どういう経路が考えられるのかはわかると思います。

手指の洗浄について

これも様々なメディアで取り上げられており、いまさらかと思いますので簡単にポイントだけ説明します。
手指についた汚れは、物理的に洗い流すのが一番のようです。流水だけでもある程度は除去することができます。消毒液やライトの滅菌だけで済むのなら、外科手術の前に先生がきれいに手を洗う必要はないですもんね。アルコール等による消毒はあくまで手が洗えない時の代用や補助として使うべきのようです。

しかし、意外とこの手洗いが難しいんです。以前受けた講習の際に、塗料とブラックライトで手指洗浄後の手を見る、という作業をしましたが…「あ、こんなに落ちてないんだ」となりました。
よく「30秒以上」と言われていますが、時間だけでなく部位にも気を付けて洗うことを心がけましょう。特に指の間、爪周り、親指、手首は本当に洗えていないんだなと感じました。さらに2回洗いをすると効果的のようです。洗うときに気を付けて洗ってみてくださいね!

正しい手指消毒・正しい手洗い 厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/content/000501122.pdf

参考として、以下はノロウイルスに関するものですが、手洗いの効果について検証している資料です。

ノロウイルスによる食中毒の現状と対策について 厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf

正しいマスクの付け方

こんな記事のタイトルではありますが、マスクは必要ない!とまでは私は思いませんので、最後に正しいマスクの着用についてです。

・鼻マスク、顎マスク

メディアでもよく騒がれますが、鼻マスクは鼻の粘膜が剥き出し状態ですので、出るのも入るのも自由ですね…苦しかったり、ずれてしまったりするのは分かりますが、マスクの意味がないので気を付けましょう。顎マスクに至っては言わずもがなですね。

・プリーツのひだに注意
ひだは下向きです。上向きにすると菌やほこりがひだに入り込んでしまいます。中心に向かってひだが向いているタイプについては…困りますね…。細かく言えばそういう点にも注意して選ぶ必要があるということでしょうか。

・触らない!
マスクを外すときはゴムの部分を持つ、表面は触らないことが大切です。

・使いまわし

もったいない気持ちはありますが、マスクは1日に1枚、新しいものを使いましょう。もっと気を付けるならば、午前、午後で付け替えることですが…コストがかかりますね。

まとめ

・感染源は体から出る体液(湿ったもの、水っぽいもの)から体外に出て、他人の体液から体内に入る。

・体液には、血液、涙、唾、便や尿、場合によっては汗も可能性がある。またそれらが出てくる粘膜(目や口、陰部など)に触れることでも病原体をもらう可能性がある。

環境中には多くの病原体が存在するので、粘膜に触れる可能性がある行動の前に手をしっかり洗うことで感染の可能性を減らせる

・手指衛生には手洗いが一番。アルコール等の消毒液は補助的に使用する。指の間、爪周り、親指、手首は特に注意して洗う。

・マスクも正しく着用することで効果が上がる。

新型コロナがますます流行していく中で世の中全体が、疲れのためか「まあいいか」という気持ちになってきているように感じます。メディアでは様々な情報が流れていますが、結局私たちができることは「自分がかからないこと」「人に広めないこと」だけだと思います。そのために、今一度「なぜそれが必要なのか」をしり、考えることで感染のリスクを減らすよう努力をしていく必要があると思います。

当店では、施術前の検温、アルコール消毒、マスク着用、プラスチック手袋着用の対応を行っています。また施術毎に全タオル交換を行い、お客様ごとに手洗いを行うことで衛生の向上に努めておりますので、安心してご利用いただければと思います。

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